「問い合わせへの返信に追われて、本来の仕事が進まない」「営業メールを書く時間が取れない」。少人数の会社では、こうした悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事の結論
問い合わせ対応や営業メールのAI活用は、返信文の下書きから始めるのがおすすめです。慣れてきたら、よくある質問の整理、チャットボットへと段階的に広げていきます。どの段階でも、お客さまに送る前の最終確認は人が行うことが基本です。
この記事では、段階別の効率化の方法と、人が必ず確認すべき場面を解説します。
問い合わせ対応・メールに時間がかかる理由
- 毎回、ゼロから文章を考えている
- 同じような質問に、何度も個別に答えている
- 丁寧な言い回しを考えるのに時間がかかる
- 担当者が一人で、その人がいないと返信できない
AIは、このうち「文章を考える時間」と「同じ質問への対応」を減らすのが得意です。
段階1:返信文の下書きをAIに作ってもらう
最も始めやすいのが、返信文の下書きです。
進め方
- 届いた問い合わせの内容を確認する
- 「何を伝えたいか」を箇条書きでAIに伝える
- AIが作った下書きを読み、事実を確認して直す
- 自分で送信する
頼み方の例
「次の問い合わせへの返信文を作ってください。伝えたいことは、①お問い合わせへのお礼、②ご希望の日程は来週火曜か水曜で調整できること、③当日の所要時間は1時間ほどであることです。丁寧すぎない、です・ます調でお願いします。」
伝えたい内容は人が決め、言い回しをAIに整えてもらう。この分担にすると、AIが事実と違う内容を書いてしまうことを防ぎやすくなります。
注意点
お客さまの名前や連絡先などの個人情報は、AIに入力しないようにしましょう。下書きでは「〇〇様」などに置き換え、送るときに人が書き直します。入力してよい情報は、社内ルールで決めておきましょう。
段階2:よくある質問と回答を整理する
返信文の下書きに慣れたら、よくある質問と回答の一覧(FAQ)を作ります。
進め方
- 過去の問い合わせから、よくある質問を集める(個人情報は取り除く)
- AIに、似た質問のまとめと、回答の下書きを作ってもらう
- 回答の内容を、人が確認して正しく直す
- 社内で共有し、ホームページにも掲載する
FAQができると、次のような効果が期待できます。
- 返信のたびに回答を考える必要がなくなる
- 担当者が変わっても、同じ内容で答えられる
- ホームページに載せれば、お客さまが自分で答えを見つけられる
また、FAQは次の段階のチャットボットの土台にもなります。
段階3:チャットボットを検討する
チャットボットとは、ホームページなどで、お客さまの質問に自動で答える仕組みのことです。
向いている場面
- 営業時間、料金の目安、手続きの流れなど、答えが決まっている質問が多い
- 営業時間外の問い合わせも多い
向いていない場面
- 一人ひとりの状況に合わせた判断が必要な相談
- 苦情や、込み入った内容の問い合わせ
導入前に確認したいこと
- 答えられない質問を、人の対応につなげる流れがあるか
- 回答の元になるFAQが、正しく整理されているか
- 誤った回答をしたときに、誰が気づき、直すか
チャットボットは、導入して終わりではありません。回答の内容を定期的に見直す必要があります。まずは段階1と段階2で、自社の問い合わせの傾向をつかんでから検討しましょう。
営業メールへの活用
営業メールでも、AIは下書きづくりに役立ちます。
- 相手に合わせた文面の調整:業種や相手の立場に合わせて、言い回しを変える
- 件名の案出し:複数の件名の候補を出してもらい、人が選ぶ
- お礼・フォローのメール:打ち合わせ後のお礼や、提案後のフォローの下書き
一方で、相手のことを調べずに、AIで作った同じような文面を大量に送るのは避けましょう。相手にとって関係のないメールは、かえって会社の印象を悪くします。
宣伝のメールには法律の決まりがある
広告や宣伝のためのメールは、「特定電子メール法」(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の対象になります。総務省の資料では、主な決まりとして次の点が示されています。
- あらかじめ同意した相手にだけ送れる(オプトイン方式):同意がない相手への送信は、原則として禁止されています。ただし、取引関係にある相手や、名刺などの書面でメールアドレスを知らせてくれた相手など、例外も定められています。
- 同意の記録を残す:相手から同意を得たときの状況(時期や方法など)の記録を保存する必要があります。
- 送信者の情報などを表示する:メールの中に、送信者の氏名または名称、配信停止(受信拒否)の連絡先と、配信停止ができる旨、送信者の住所などを表示する必要があります。
- 配信停止の連絡があったら送らない:同意を得た相手でも、受信拒否の連絡を受けたら、以後は送れません。
AIで作った文面を使う場合も、これらの決まりは変わりません。また、通信販売の広告メールなどは、「特定商取引法」の対象にもなる場合があります。細かな例外や、自社のメールが対象になるかは、記事末の総務省の資料で確認しましょう。
人が必ず確認すべき場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| 料金、納期、契約条件に関わる回答 | 誤ると、トラブルや損失につながる |
| 苦情・クレームへの対応 | 相手の気持ちに配慮した判断が必要 |
| 個別の事情に合わせた判断 | AIは自社の事情や過去の経緯を知らない |
| 初めての取引先への連絡 | 会社の第一印象を左右する |
| 送信の最終判断 | 送ったメールの責任は会社が持つ |
まとめ
- 問い合わせ対応・営業メールのAI活用は、返信文の下書きから始めましょう。
- 伝えたい内容は人が決め、言い回しをAIに整えてもらうのが基本です。
- よくある質問を整理すれば、対応の手間が減り、チャットボットの土台にもなります。
- 個人情報は入力せず、お客さまに送る前の最終確認は必ず人が行いましょう。
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石坂Team NEXT|株式会社NEXTGO 代表
専門家がチームで企業に入り、手を動かして伴走する「Team NEXT」を運営しています。IT業界で24年の経験。支援企業20社超、プロジェクト70件超。
参照した資料
- 総務省「迷惑メール対策」(特定電子メール法の掲載ページ)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/m_mail.html - 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_pamphlet.pdf - 確認日:2026年10月14日
※法令やガイドラインは改正される場合があります。最新の情報は、公式サイトでご確認ください。個別のケースの判断は、専門家にご確認ください。


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