デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常枠では、ITツールの導入費用の一部が補助されます。この記事では、通常枠の補助額・補助率と、申請額によって変わる条件を解説します。
この記事の結論
通常枠の補助額は5万円〜450万円、補助率は原則2分の1以内です。ただし、申請する金額によって、必要な条件が変わります。特に、賃上げの目標を達成できないと、補助金の返還を求められる場合があります。申請額を決める前に、条件をよく確認しておきましょう。
この記事の金額・補助率は、第7回公募以降の公募要領(通常枠、2026年10月9日更新)にもとづいています。
通常枠の補助額・補助率
通常枠の補助額と補助率は、次のとおりです。
| 補助金の申請額 | 補助率 | ソフトウェアに必要なプロセス数 |
|---|---|---|
| 5万円〜150万円未満 | 2分の1以内 | 1つ以上 |
| 150万円〜450万円以下 | 2分の1以内 | 4つ以上 |
「プロセス」とは、ソフトウェアで効率化できる業務の分類のことです。たとえば「顧客対応・販売支援」「会計・財務・経営」「総務・人事・給与・労務」などがあります。申請額が150万円以上の場合は、4つ以上のプロセスを含むソフトウェアを導入する必要があります。
補助率が3分の2以内になる場合
次の条件に当てはまる場合は、補助率が3分の2以内になります。
- 2025年10月から2026年9月までの間に、「その期間の地域別最低賃金以上、2026年度改定後の地域別最低賃金未満」の賃金で雇っている従業員が、全従業員の30%以上である月が、3か月以上あること
この場合は、所定の「賃金状況報告シート」を申請時に提出します。
補助額の考え方
補助額は、補助の対象となる経費に補助率をかけた額です。たとえば、対象経費が200万円で補助率が2分の1なら、補助額は100万円になります。この場合は「150万円未満」の区分に当たるため、必要なプロセスは1つ以上です。
なお、150万円以上の申請の条件を満たしている場合でも、自分の判断で申請額を150万円未満にすることはできます。
申請額によって変わる条件
労働生産性の目標(全員共通)
申請額にかかわらず、3年間の事業計画を立て、次の目標を設定する必要があります。
- 1年後に、労働生産性を3%以上向上させる
- 計画期間の年平均で、労働生産性を3%以上向上させる
労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の総労働時間」で計算します。比べる基準は、申請する日が含まれる事業年度の、1つ前の事業年度です。過去にIT導入補助金の通常枠などを使った事業者は、目標が4%以上になります。
賃上げの目標
賃上げの目標が「必須」か「加点項目」かは、申請額と、過去の利用歴によって変わります。
| 申請額 | はじめて申請する事業者 | IT導入補助金2022〜2025を使ったことがある事業者 |
|---|---|---|
| 150万円未満 | 加点項目(必須ではない) | 必須 |
| 150万円以上 | 必須 | 必須 |
必須となる場合の主な目標は、次のとおりです。
- 給与の目標:従業員1人当たりの給与支給総額を、1年後に3%以上、計画期間の年平均でも3%以上増やす(過去にIT導入補助金2022〜2025を使った事業者は、どちらも3.5%以上)
- 最低賃金の目標(150万円以上の場合):事業場内で最も低い賃金を、地域別最低賃金より30円以上高くする
- 従業員への表明:申請の時点で、賃上げの計画を従業員に伝えていること
給与の目標は、申請する日が含まれる事業年度を基準に比べます。
なお、保険医療機関や介護サービス事業者、学校など、賃上げの要件が適用されない事業者もあります。
賃上げ目標を達成できないとどうなるか
ここがいちばん重要な注意点です。賃上げの目標が必須となる申請で、目標を達成できなかった場合は、補助金の返還を求められる場合があります。
最低賃金の目標が未達の場合
事業場内の最低賃金の目標を達成できなかった場合は、補助金の全部または一部の返還を求められます。返還額は、目標を達成できなかった年によって変わります。公募要領では、補助額450万円の場合の例が示されています。
| 未達になった年 | 返還額(補助額450万円の例) |
|---|---|
| 1年度目 | 450万円(全額) |
| 2年度目 | 300万円(3分の2) |
| 3年度目 | 150万円(3分の1) |
ただし、付加価値額の伸びが年平均1.5%に届かなかった場合や、天災など事業者の責任ではない理由がある場合は、返還は求めないとされています。
給与の目標が未達の場合
計画の最終年に、1人当たり給与支給総額の目標を達成できていない場合は、補助金の全額の返還を求められる場合があります。なお、1年度目にも達成できたかどうかを確認しますが、1年度目に達成できなくても返還は求めないとされています。
ただし、付加価値額が増えておらず、かつ3年間の過半数が営業赤字だった場合や、天災など事業者の責任ではない理由がある場合は、返還は求めないとされています。
加点を受けて未達の場合は、ほかの補助金で減点
賃上げの計画で審査の加点を受けて採択されたのに、目標を達成できなかった場合は、未達を報告してから18か月の間、中小企業庁が所管する他の補助金に申請するときに、大きく減点されます。
効果報告を忘れずに
賃上げ目標が必須となる申請で、決められた期間内に効果報告を出さなかった場合も、補助金の返還を求められます。
補助金を受け取るときの注意点
- 補助金は後から受け取る:ITツールの代金を支払い、実績報告をしたあとに、補助金が事務局から直接支払われます。
- 消費税は対象外:補助の対象となる経費に、消費税は含まれません。
- 交付決定の前に契約しない:交付決定より前に契約・購入したITツールは対象外です。
- 審査がある:申請内容は審査され、採択されない場合もあります。
まとめ
- 通常枠の補助額は5万円〜450万円、補助率は原則2分の1以内です。
- 一定の条件を満たすと、補助率は3分の2以内になります。
- 申請額が150万円以上だと、4つ以上のプロセスと、賃上げの計画が必要です。
- 賃上げの目標を達成できないと、補助金の返還を求められる場合があります。
- 申請額は「いくらもらえるか」だけでなく、「目標を達成できるか」で決めましょう。
金額や条件は、公募の回によって変わる場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトで確認してください。
最新の公募スケジュール・詳細はこちら(デジタル化・AI導入補助金 事務局ポータルサイト)

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石坂Team NEXT|株式会社NEXTGO 代表
専門家がチームで企業に入り、手を動かして伴走する「Team NEXT」を運営しています。IT業界で24年の経験。支援企業20社超、プロジェクト70件超。
参照した資料
- 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」第7回公募〜(2026年10月9日更新)
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kaitei_koubo_tsujyo.pdf - 確認日:2026年10月13日(公募要領PDFの内容を確認した日)
※本記事は、上記の公募要領の内容をもとに作成しています。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトでご確認ください。


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