デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使って、ITツールやAIを導入したい。でも、どのツールを選べばよいのか分からない。そんな方は多いのではないでしょうか。
この記事の結論
補助金で導入できるのは、事務局に登録されたITツールだけです。そして、ツール選びでいちばん大切なのは、ツールを探す前に「どの業務を、どう変えたいか」を決めることです。審査でも、改善したい業務と、ツールで期待できる効果が合っているかが見られます。
この記事では、補助金を使うときのITツールの選び方を、順を追って解説します。
※経営×AIラボ(Team NEXT)はIT導入支援事業者ではなく、特定のツールのおすすめは行っていません。この記事では、ツール選びの「考え方」を解説します。
前提:対象は「登録されたITツール」だけ
補助の対象になるのは、IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたITツールです。IT導入支援事業者とは、ITツールを提供するベンダーなどで、事務局の審査を受けて登録された事業者のことです。
つまり、「使いたいツールが先にあって、それに補助金を使う」という考え方は、うまくいかない場合があります。そのツールが登録されていなければ、補助の対象にならないからです。
ITツールの選び方:5つのステップ
ステップ1:変えたい業務と目的を決める
最初に、ツールではなく業務から考えます。
- どの業務に、いちばん時間がかかっているか
- その業務が、どうなれば理想か(作業時間を減らしたい、ミスをなくしたい、売上につなげたい など)
- 誰が、そのツールを毎日使うのか
公募要領の審査項目にも、「自社の状況や課題分析及び将来計画に対し改善すべきプロセスが、導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか」という観点があります。目的があいまいなままツールを選ぶと、審査の面でも、導入後の効果の面でも不利になります。
ステップ2:業務を「プロセス」に当てはめる
補助金の対象となるソフトウェアには、業務を効率化する「プロセス」が必要です。自社の変えたい業務が、どのプロセスに当たるかを確認しましょう。
| 種類 | 主なプロセス |
|---|---|
| 共通の業務 | 顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・労務など |
| 業種ごとの業務 | 建設業の施工管理、製造業の生産管理、飲食業のセルフオーダーなど、業種に特有の業務 |
| 汎用ツール | 文書作成、表計算、グループウェア、Web会議、RPA、チャットボットなど |
汎用ツールは、それだけでは申請できません。共通の業務や業種ごとの業務のソフトウェアと組み合わせて申請します。
また、申請額が150万円以上の場合は、4つ以上のプロセスが必要です。
ステップ3:「ITツール検索」で登録ツールを探す
事務局のポータルサイトには、登録されたITツールを探せる「ITツール検索」があります。公募要領では、ツールにAIが入っているかどうかを含む機能の概要を、ITツール検索で確認できるとされています。
ステップ4:IT導入支援事業者に相談し、見積もりをとる
候補のツールが見つかったら、そのツールを提供するIT導入支援事業者に相談します。この段階では、商談や見積もりの依頼までで、契約はしません。交付決定の前に契約・購入したツールは、補助の対象にならないためです。
申請書の作成は、IT導入支援事業者と一緒に進めます。ただし、申請内容の確認と提出は、事業者本人が行います。
ステップ5:導入後に使い続けられるかを確認する
補助金は、導入して終わりではありません。導入後に、効果報告を出す必要があります。また、導入したツールを途中で解約すると、補助金の返還が必要になる場合もあります。
- 社内に、そのツールを使いこなせる人がいるか
- 導入時の設定や研修、保守のサポートはあるか
- 2年目以降の利用料を、自社で払い続けられるか
クラウドサービスの利用料は、補助の対象が最大2年分です。3年目以降の費用も考えておきましょう。
AIツールの考え方
AIは「ソフトウェア」に含まれる
公募要領では、補助の対象となるソフトウェアにAIを含むと明記されています。公募要領に例として挙げられているのは、次のような機能です。
- チャットボットシステム、RPA(定型作業を自動化するツール)
- AIを使った顧客の行動の分析など、マーケティングを支援する機能
生成AIツールは「登録されているか」で決まる
公募要領には、「生成AI」という言葉や、特定のAIサービスの名前は出てきません。文章作成AIのようなツールが対象になるかどうかは、登録されたITツールかどうかで決まります。ITツール検索や事務局で確認してください。
なお、チャットボットやRPAなどの汎用ツールに当たる場合は、それだけでは申請できない点にも注意が必要です。
AIありきで選ばない
「AIを使いたい」という気持ちは大切です。ただ、補助金の審査で見られるのは、業務の課題とツールの効果が合っているかどうかです。「AIを入れること」を目的にせず、「どの業務を、AIでどう変えるか」から考えましょう。
クラウドツールの考え方
クラウドサービスには、次のような扱いがあります。
- 月額・年額で払う利用料が、最大2年分まで対象になる
- クラウド製品を選ぶと、審査で加点される
ほかにも、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」や、インボイス制度に対応した製品を選ぶと、加点の対象になります。
注意したいこと
- 過去に導入したツールと同じ機能は避ける:IT導入補助金2024・2025で導入したソフトウェアと、プロセスが重なると減点され、完全に一致すると不採択になります。
- ハードウェアと一体のものは対象外:ソフトウェアとハードウェアが一体で、切り分けられないものは対象になりません。
- 機能が足りないものは対象外:顧客情報を保存・表示するだけの顧客管理ツールなどは、プロセスとして認められません。
公的な相談窓口も活用できる
ツール選びに迷ったときは、公的な窓口も利用できます。
- IT経営サポートセンター(中小企業基盤整備機構):1回60分の無料オンライン相談です。課題がはっきりしない段階でも相談できます。
- IT戦略ナビwith(中小企業基盤整備機構「デジwith」):自社のIT活用の方向性を「IT戦略マップ」として整理できるウェブサービスです。
どちらも、条件を満たして利用すると、補助金の審査で加点の対象になります。
まとめ
- 補助金で導入できるのは、事務局に登録されたITツールだけです。
- ツールを探す前に、変えたい業務と目的を決めましょう。
- 業務を「プロセス」に当てはめ、ITツール検索で登録ツールを探します。
- AIツールが対象かは、登録されているかどうかで決まります。
- 導入後も使い続けられるか、2年目以降の費用も含めて考えましょう。
最新の公募スケジュール・詳細はこちら(デジタル化・AI導入補助金 事務局ポータルサイト)

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ただ、ツールを決める前に「どの業務を、どう変えたいか」が整理できていないと、補助金を使っても成果につながりにくくなります。
経営×AIラボ(Team NEXT)では、効率化したい業務と、ツールに求める条件の整理をお手伝いしています。ツール選びの前の段階から、一緒に整理しませんか。
※当社はIT導入支援事業者ではありません。ITツールの販売や、特定のツールのおすすめは行っていません。申請書類の作成・代理申請は行わず、申請内容の最終的な判断と記載は事業者さまご自身に行っていただきます。

石坂Team NEXT|株式会社NEXTGO 代表
専門家がチームで企業に入り、手を動かして伴走する「Team NEXT」を運営しています。IT業界で24年の経験。支援企業20社超、プロジェクト70件超。
参照した資料
- 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」第7回公募〜(2026年10月9日更新)
https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kaitei_koubo_tsujyo.pdf - 確認日:2026年10月13日(公募要領PDFの内容を確認した日)
※本記事は、上記の公募要領の内容をもとに作成しています。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトでご確認ください。


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